軒のない家とは?メリットとデメリットを知ろう
有名どころのハウスメーカーやこだわりのある家を建てる地場の工務店なら、軒の出がある家を建てるメリットを分かって家づくりをしています。
安易に建売を購入する前とか、注文住宅であっても事前にすでに建てられている分譲地の家をよく観察してハウスメーカー選びをするようにしましょう!
軒がない家(軒ゼロ)の主な特徴
軒のない家は、近年のモダン建築でよく見られるスタイルです。
軒とは、屋根の一部が外壁から外へ突き出している部分のことで、通常、雨や日差しから建物を守る役割を果たします。
軒のない家は、その名の通り、この部分がなく、すっきりとしたシンプルな外観を特徴としていて、最近はデザイン重視で軒を省くケースが増えており、スタイリッシュな印象を持つことが多いです。
軒がない家のメリット
軒のない家のメリットとしてまず挙げられるのは、そのモダンで洗練されたデザインです。
スタイリッシュな見た目が現代的な家づくりにマッチし、多くのデザインコンシャスな建築主に好まれます。
現実的なメリットで言えば、次のポイントになります
●同時に軒の出がない分屋根材や下地材そして軒天材にかかる費用の削減になる
限られた土地の広さの中で家の住む間取りを広くするなら軒の出を押さえることでメリットになります
軒がない家のデメリット
しかし、デザイン性の高さの裏にはいくつかのデメリットも存在します。
特に、建物が雨や日差しに直接さらされるため、外壁や窓にかかる負担が大きくなり、劣化が早まることが懸念されます。
これによってメンテナンス頻度が増えることがあり、長期的な維持コストがかさむ可能性もあります。
デザイン性と機能性のバランスを取ることが重要です。
軒がない家のデメリット 軒のない家で後悔する主な理由3選とプロの視点
外壁工事を長年経験した実体験から軒の出があるのと無いのとでは、施工するときの雨漏りリスクを常に最初に考えます。
工事をする職人と工務店との監督も交えてリスク軽減のため何度もコミュニケーションをして施工方法を決定します
外壁の劣化が早まるリスク
軒がない家は、雨や風、直射日光(紫外線)に外壁が直接さらされることが多いため、劣化が早く進むリスクがあります。
特に外壁材が木材やサイディングの場合、表面の経年劣化などにより雨水が壁に染み込みやすく、カビや腐食の原因となることがあります。
これにより、通常の住宅よりも頻繁なメンテナンスや外壁の塗り直しが必要になるケースも少なくありません。
外壁工事のプロから見ても、軒がない設計は外壁の耐久性に影響を与える重要なポイントです。
外壁がサイディングの場合の劣化具合とメンテナンスコストが分かる記事はこちら☟
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窓周りの雨漏りや防水トラブル
窓や玄関周りの雨漏りも、軒のない家で後悔する大きな要因の一つです。
通常の住宅では、軒があれば雨を防ぎやすいため、窓やドア周りの防水対策はそれほど重視(誤解の無いように記しますが、基本はちゃんと施工されているのでご安心を!)されませんが、軒がない場合はその防御が甘くなりがちです。
特に、強い雨や風の日には、窓枠やサッシ部分に雨が直接打ち付けられ、防水処理が不十分だと水が建物内部に侵入してしまう可能性があります。
このようなトラブルは、内部のカビや構造的な損傷につながり、修理コストも高額になりがちです。
日差しや雨風の直接影響による居住性の問題
軒がない家では、日差しが直接窓に当たるため、夏場には室内の温度が急激に上昇することがあります。
これにより、冷房効率が低下し、エネルギーコストが増加する可能性があります。
また、雨が直接窓や玄関に打ち付けるため、出入りが不便になるという実用的な問題もあります。
雨の日に家を出る際、玄関先に雨が降り込むため、外出時に濡れやすくなるのです。
特に玄関から外出する際には、軒の出以外にも建物の壁で囲われた玄関前の造りかたにすると風雨を防ぐこともできるので検討すると良いでしょう!
軒のない家で後悔しないための具体的な対策
ここでは具体的な現場の事例を解説していきます
プロが教える防水工事の対策【事例写真付き】
私のように長年外壁工事に携わってきた経験上、軒のない家に対して特に防水対策を強化することに重点を置いて職人さんと現場で仕事をしてきました。
当然理由としての一番は、雨漏りがあれば、第一容疑者としてハウスメーカーから呼び出しを受け、こちらの責任であれば、当たり前ですが完全修復をしないといけないからです。
例えば、防水シートの選び方や取り付け方法を工夫することで、外壁への水の侵入を防ぐことができます。
また、窓周りのシーリングを強化し、雨風が直接当たる場所には念入りに防水処理工事をしながら適材適所に防水材(開口部周りにはウエザーシートと呼ばれる防水シート)を使用することも重要です。
これにより、雨漏りや劣化を限りなく最小限に抑えることができます。
例えば、軒の出がいかに重要かは?下記のように事例をあげて説明すると特に台風やゲリラ豪雨のように強風をともなう天候対策に有効になる以下☟の写真をご覧下さい
上の写真のように軒の出がある家であれば赤線部分が軒天材を貼り付ける場所になります。
軒の出の長さが、ある程度あるので今までの説明どうり普通の雨なら外壁を濡らすことがありません。
さらにこの写真なら2階の大屋根部分の軒の出になりますが、1階にも軒があれば、特にリビングで過ごすことが多い部屋に軒を設けることで夏場の直接の日差しをさえぎってくれます。
軒の出が大事な理由は次の写真
軒天材が貼り付けられるその上の屋根下地材をささえる垂木と呼ばれる斜め材の下まで防水紙が貼り上がっています。
このように上の写真の建物であれば、台風などの巻き上げの風雨を安心して防ぐことが出来て建物の壁内側への漏水の危険性がなくなる施工となります。
軒がゼロであれば、軒天材と壁とのすきまや立ち上がりの防水紙の施工方法をより工夫して工事をしないと雨漏りの原因になるので注意が必要となります
こういった施工方法は、軒の出があるか無いかで施工の技術はもとよりあらかじめ危険性がどちらの方が低く出来るかをあなた自身が知っているか知らないかが重要ポイントになります。
このことが打ち合わせの上でハウスメーカーや工務店に対しての注意喚起につながりあなたに対してより施工に注意をしようとしてくれるに違いありません
外壁メンテナンスを軽減する素材選び
軒がない家でも外壁のメンテナンス頻度を減らすためには、耐久性の高い外壁素材を選ぶことが大切です。
例えば、金属系サイディングや、汚れにくく耐候性のあるタイルなどは、軒がない家に適した素材としておすすめです。
これらの素材は雨や紫外線に強く、劣化が少ないため、メンテナンスコストを抑えられる利点があります。
また、外壁の塗装を高品質なものにすることも、長期的に見て有効な対策です。
外壁材の選び方がわかる記事はこちら☟
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窓・玄関の雨風対策としての工夫
軒がない家でも、玄関周りや窓周りに小さな庇(ひさし)を設置することで、雨風の直接的な影響を軽減することができます。
特に玄関部分に庇を設けると、雨の日でも玄関を出入りする際に濡れることが少なくなり、実用的な面での後悔を減らすことができます。
また、窓には外付けの雨戸やシャッターを取り付けることで、雨や日差しを防ぎ、室内環境を快適に保つことが可能です。
あくまで雨戸やシャッター以外のこれらの対策は、どうしても軒を作れないとか建築上無理な場合あるいは、コスト削減以外は、おすすめはしません。
軒のない家を建てるかどうか迷っているなら
軒の無い家を建てて後悔する場合は、居住性に不満を持ったり、雨漏りなどの直接的な被害があった際に初めてその後悔を感じる事になります。
実際に建てた人の体験談
我が家は、野安 新いぶし瓦、軒の出は900㎜
総2階の建物ですが、軒の出が深いため、外壁の劣化は和らげました、意匠上、軒の出が少ない建物も有りますが、外壁は残念ながら劣化は早いかと思います(外壁塗り替え時に、塗装店さんもおっしゃておりました pic.twitter.com/wC34pRA8fa
— ひかる pyrex (@hikaru226) August 21, 2024
軒のない家を建てた方々の体験談を参考にすることで、実際の住み心地やメリット・デメリットがより具体的に理解できます。
たとえば、デザイン重視で軒のない家を建てた方は、そのモダンな外観に満足している一方で、夏の暑さや雨の日の不便さに悩む声も聞かれます。
体験談を読むことで、自分の生活スタイルに合った家づくりを検討する際の参考になります。
例えば、軒の出と夏や冬の太陽の日の入り方は、次の写真のように2階設置の窓であれば、出来るだけ窓の高さを軒に近づけることで、夏の強烈な日光から遮りそして冬場なら効率良く部屋の中へ日光を取り込んで暖かく出来ます。
また、玄関先の軒の出が深ければ、雨から自由を奪われることもありません!
このように、生活のしやすさや居住性にも影響がでるのが、軒の出があるか無いかの具体例で、体験的に感じる事として暮らし始めて感じる共通の事柄です。
プロからの最終アドバイス
軒のない家を選ぶかどうかは、デザインと実用性のバランスを考慮することが重要です。
私からの外壁工事のプロとしてのアドバイスとしては、軒がない場合は必ず防水対策(施工を確実に)や外壁材の選び方(耐久性を考慮する)に注意し、適切なメンテナンスを計画することも前提にハウスメーカーや工務店と打ち合わせをしましょう!
さらに、将来的なライフスタイルや地域の気候条件も考慮し、長く快適に住める家づくりを目指しましょう。
まとめ
軒の出がある場合と無い場合の建物のリスクと暮らしやすさは?
このような関連性は、建てようとするハウスメーカーや工務店が常にあなたの立場に立って事前に説明をしてくれるわけではありません!!
この記事を通して、これからどのような家を建てればあなたとあなたの家族が満足出来る暮らしが実現出来るかの助けになれば嬉しいです。